マリオン

キャプテン・アメリカ ウィンター・ソルジャーのマリオンのレビュー・感想・評価

5.0
本格的な肉弾戦、カーアクションと70年代サスペンスを彷彿とさせる陰謀サスペンスが絶妙な匙加減で展開され、そこにキャプテン・アメリカ自身のアイデンティティである祖国と自由を問い直し訴えかけるということまでやってのけてしまうこのバランスのよさに感服した。そして今まで以上にキャラクターの魅力と風格が引き出されていて最高のバランスを兼ね備えたヒーロー映画であった。

キャプテン・アメリカは祖国と自由を愛し守るヒーローであるが今回キャプテン自身も所属する祖国と自由を守る存在S.H.I.E.L.D.と真っ向から対立することになり自身の守るべきものとは何か?自由を愛するとは何なのかを考えさせる。そこから守る盾となる存在の対比がよくできているなと思った。そしてウォーターゲート事件に代表されるような今の安全保障にまつわるような様々な政治的意義も合わさっていて70年代の陰謀サスペンスやポリティカルスリラーのようなじんわりと忍び寄るような怖さも兼ね備えているのだ。

またアクションもしっかり楽しませてくれる。豪快に派手な肉弾戦にド派手なカーアクションなどできる限りCGに頼らないで実際にアクションしているのが分かるので現実感もすごい。他にもウィンター・ソルジャーとの因縁などこれでもかと様々な要素がバランスよく楽しめるのだ。下手な監督なら無駄にとっ散らかった映画になってしまうのを今回のルッソ兄弟はしっかりまとめていたと思う。

あとキャプテン・アメリカ、ブラック・ウィドウの魅力がアベンジャーズ以上に惹き出されているのもすごくよかった。自身のアイデンティティに悩むのはアイアンマン3のようだがそれをさらに高度におもしろくしていたと思う。ニック・フューリーも相変わらずの風格を見せてくれるがそれ以上にロバート・レッドフォード演じるアレクサンダー・ピアーズの風格が本当にかっこよくて素晴らしかった。このキャラクターにこのキャスティングは確信的で最高だ。ウィンター・ソルジャーの物々しい雰囲気とギミックにも惚れ惚れしたし、ファルコンもいいキャラしてた。ド派手なアクションシーンでかかるヘンリー・ジャックマンの音楽もよかったと思う。

恐らくここまでキャプテン・アメリカが魅力的に見える映画はなかなかできない思う。自分はこの映画でキャプテン・アメリカが大好きになった。
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