やり手の実業家との結婚で手に入れた裕福な生活を夫の逮捕と離婚で失い、異母姉妹でシングルマザーのジンジャーを頼ってNYからサンフランシスコへ越したジャネット。借金を抱えてもセレブ暮らしを忘れられず「ジャスミン」を名乗り続ける彼女が、高いプライドのせいで不慣れな生活に馴染めず四苦八苦する様を描くコメディドラマです。
長きに渡って精力的に活動してアカデミー賞史上最多ノミネートと人気と実績を兼ね備える米国人監督ウディ・アレンが「こじらせ女子」を描いた2013年公開作品で、彼自身がその才能を認めるケイト・ブランシェットを脚本と演出で盛り立てて『アビエイター』での助演女優賞に続く二度目、主演では初となるオスカー女優賞へと導きました。
ジェイソン・ライトマン×シャーリーズ・セロンの『ヤング≒アダルト』を思わせる痛々しい物語であってもアレンらしい洒落たムードのある演出でマイルドに仕上げていて、不意に出てしまう言動の数々で笑わせます。個人主義が浸透した自己実現サバイバルの時代、現代人の誰しもにある醜態をブランシェットがキュートに演じる一作です。
