まずガエルが好きな人間として一言言いたい。ガエルファンをおびきせるためのジャケットと邦題はいかがなものか。原題はフィデル。これはフィデル・カストロの半生の映画でゲバラ(役のガエル)はおまけ程度にしか出てこない。日本の予告編だけやたらガエルが出てくる。客寄せのために期待値を上げてから落胆させ、テーマをねじまげる行為は作品への冒涜である。
不満、終
カストロの映画としてはなかなか面白かった。ガエルのゲバラが見とれてしまうほどカッコ良くオーラもスゴいためカストロがかすんでしまうのだけど、見た目は似ていたと思う。実際のカリスマ性や人気も、キューバ国外からの目線では圧倒的にゲバラなのだし、この配役で納得できる。「モーター・サイクル・ダイアリーズ」のあとくらいからの話なので、ガエル作品を追うことで時系列を整理しながら歴史を学べるという良い点があった。
アメリカの傀儡バチスタ政権を倒して革命成功で終わるのではなく、駆け足ではあるが、公開当時は存命だったカストロのその後まで描いたところは良かった。アメリカのテレビドラマということで、カストロを英雄視して終わらせないところが今回は吉と出た。
暴力で政権を勝ち取ったこの革命。やはり銃撃戦は血みどろで生々しい。共産主義を目指した革命ではなく、国民に民主主義を約束していた革命であったとは新しい発見だった。