Ricola

デデという娼婦のRicolaのレビュー・感想・評価

デデという娼婦(1947年製作の映画)
3.7
波止場が舞台のありがちな、コテコテなラブストーリーかと思いきや、意外なファムファタルぶりに驚かされた。


シモーヌ・シニョレのまだ初々しさも少し残りつつ、官能的な魅力が素敵。

男性から無下に扱われてきた彼女だったが、運命の人との出会いで徐々に彼女の人生に光がさしてくる。

全体的に淡々としており、暗めな雰囲気であったが、人物たちの心情がちゃんと読めるような簡潔だが丁寧な描かれ方のおかげで、主人公に感情移入しやすい。

彼女の運命の先行きがわからず、ハラハラさせられるが、そこにキーとなる男の一貫としたミステリアスさが、主人公と同じ視点に立てられるのにかなり役に立っている。

霧のかかった波止場で繰り広げられる、運命を翻弄される男女の熱い恋模様には、ドキドキさせられる。

ただそういった恋愛だけでなく、スイッチの入った女の強さを見せつけられ、とてもしびれた。
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