すごいなぁ、80歳であのパッションがあるって。
第86回アカデミー賞の長編ドキュメンタリー部門にノミネートされ、サンダンス映画祭では監督賞を受賞。
お恥ずかしながら、お二人の存在はこの作品で初めて知りました。
前衛芸術家・篠原有司男ことギュウチャンと、妻・篠原乃り子夫妻の日常と製作の日々を追うドキュメンタリー。
乃り子さんの目線で、ニューヨークで出逢い、生きてきた二人の軌跡を辿ります。
アーティストふたりが家にいるって、考えただけでも大変そう…と思って、観ていた。
撮影当時ギュウチャン80歳、乃り子さん59歳。「一般的」の概念は人それぞれだけど、間違いなく一般的な老齢の夫婦とは違うと思う。
どうしても、乃り子さんに肩入れしながら観てしまうのだけど、語り尽くせぬ苦労があったんだろうな、と想像しました。
アジア移民としてニューヨークで暮らすだけでも大変なのに、お金が稼げず呑んだくれてる夫のフォローと子育ての苦労。
想像が追いつきません。
乃り子さんだって、アートを勉強するためにアメリカに渡ってきたのに…。
出会ってしまったから、仕方がないのか🥺
ギュウチャンは日本でとても著名だったそうですが、ニューヨークでは「俺はまだ売れていない」そうです。
売れよう!という火🔥が消えないことは、尊敬に値しますが、支えてくれる乃り子さんあってのことだと思います。
深く、人生を考えてしまったよ。
そんな乃り子さんも、2017年前後から自分の創作活動に専念。映画の影響もあり自身とギュウチャンをモチーフにした『キューティ〜&ブリー』の作品で注目されはじめます。
乃り子さんはファッション誌のインタビューで「自分の表現を見つけるまで、40年かかった」と答えていましたが、創作ってそういうものなんだなぁと、感慨がありました。
劇中で乃り子さんは「(ギュウチャンとの人生を)イチからもう一度始めるか?と問われたら……そうすると思う」と答えていた。
わたしが老生した時、そう答える自信はまったくない。
ふたりのような人生は真似したくても絶対にできないと思うけど、その一点については羨ましく思った。