青二歳

キューティー&ボクサーの青二歳のレビュー・感想・評価

キューティー&ボクサー(2013年製作の映画)
4.3
とても80に見えない肌ツヤ!ギューちゃんも乃り子さんも可愛い!つやっつや!ジャケもっと可愛い写真にすればいいのに。でもこのラストシーンが最高。リアルだめんず甲斐性なしギューちゃんと乃り子さんのアーティスト夫婦の物語。
しかし…どーやって暮らしてんだ。たまに働いてるのか…(´ー`)?…どうも見る限り働いてない。80までアーティストとして作品作って売ってなんとか暮らしてるという!乃り子さんに家賃払えないじゃんて怒られてますけど。
映画によく見る"だめんず"…フィクションで説得力のある男は難しいけど…まさかのリアルだめんず。色々アカンだろ(´ω`)うん、アカン。しかし可愛いギューちゃん!(∩´∀`)∩映画に描かれるような成り行きでカップルなって40年。

当初25歳のドキュメンタリー監督はこのだめんずギューちゃんの生き様に惹かれカッコいい!ジイさんイカすぜ!と撮影し始めたらしいんですが、乃り子さんが「おい若造そんなあめーもんじゃねーんだよ」と"キューティー&ブリー"という自伝的作品を見せたところ撮影の方向性が変わっていったらしい。そう、乃り子さんが主役のドキュメンタリーになってしまっているんですね。
彼女のキャラクターが素晴らしい。子育てもあり、若い頃はアル中だったギューちゃんにはそらぁ苦労したでしょうが、なんというか…井上ひさしの奥さんみたいになっていたかも。彼の芸術を支えるのは私だ!とDVを受け続けちゃう(反撃はするけど)みたいな。でも少なくとも今は、そんな風に自己を殺すことは絶対しない彼女です。アル中も治ったみたいだし、何より生活という点でギューちゃんと向こう張ってぶつかります。また芸術家同士ということでギューちゃんにコンプレックスがあったらしいが、結婚生活40年にして発表した"キューティー&ブリー"(かわい子ちゃんとイジメっ子)によって、彼女は60を過ぎてアーティストとしての自信を得てゆく。
本当にこのくだりがいいんです、とても素敵な女性です。

お二人ともいいとこのご子息ご令嬢っぽいので、根っこのところでお金に執着がないんでしょうね。銭ゲバにはなれないのかと思います。現代美術で飯食って行こうと思ったら上手い下手関係ない。如何に価値付与していくか、プロモーションして、売り込んで、NYのアートマーケットのシステムにグイグイ食い込んで市場価値のヒエラルキーの上にいかないとならないのに、多分そういう事は出来ない方なんだと思います。破天荒とか無頼ってんじゃないでしょうねえ、いい意味で育ちがいいお二人だからなんでしょうな。ギューちゃんの生活力の無さもそうした甘えが見えます。ギューちゃんには女性がいないとダメでしょう。
夫婦もの映画ではトップクラスで好きですね。夫の横暴にイラっとしたり、夫から尊敬されないと泣いている世の奥様がいるなら、ぜひキューティーの強さと弱さを観てほしい。
青二歳

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