このレビューはネタバレを含みます
人工知能に平和を委ねることはできるか?と言った倫理的・哲学的な問いにアメリカのバカデカスケール超予算アクションを載せた今作。
アイアンマンの良き友として活躍してきた“ジャービス”から、人類こそ地球の癌であるということに気付いてしまった“ウルトロン”、そしてインフィニティストーンから生まれた“ヴィジョン”。
自分がぼろぼろになってもまだ人類を守ろうとするジャービスが愛おしく、そして観客が惜別の念をAIに抱くように演出してきた監督に脱帽。人はAIにも心を見出す。
ウルトロンの言い分も確かにデータを見れば正しく、ラスボスであるサノスも規模は違えど同じ思想で行動していた。
そこへ人類知を超越するインフィニティストーンの力でジャービスから誕生したヴィジョン。
彼はウルトロンの一部を継承しているにも関わらず、もとになったジャービスの人への愛を認識していたため人類を守る方向へと進むこととなる。
また、今作以降ヒーローが救いきれなかった、こぼれ落ちた人々がフォーカスされるのも特徴。
スタークがもっと早く武器製造を辞めていればマキシモフズはヒドラの実験に参加せず、今も幸せにシットコムを見ていたはずだったし、ソコヴィアで犠牲になった人々もこれ以降登場する。
MCU作品のヒーローは完全無欠ではなく、人間味だとか未熟な姿を描こうとしているのが伝わってきて面白い。