える

劇場版ポケットモンスター 幻のポケモン ルギア爆誕(ばくたん)のえるのレビュー・感想・評価

3.5
というわけで二十年ぶりに観た。

やっぱおもろいのよ。

思い出補正とかじゃなくて単純に完成度が高い。

この作品のテーマは途中でルギアが一言だけポロッと言う「生き物は共存する上でお互いの世界があるんだから、相手の世界を壊してはいけない」ってところに集約していく。
個人主義が尊重され、個人の権利ばかりが肥大化していく昨今を予言するかのような問題提起。

そして今作の巨悪ジラルダンは自らの欲望に忠実な所謂アンチテーゼ的な存在。
自分のコレクションのためなら世界が滅びかけたって構わない、でも子供向けアニメにありがちな只々悪い事がしたいだけの悪じゃなくて、一本芯があるというかどこか狂気すら感じるカリスマを放っている。これまたありがちな最後に改心して助けてくれることも一切無く、最後まで腹立つ奴だったのもポイント高い。(そこが芯が通っていると感じるのか)

そしてロケット団の大活躍も見逃せない。とりあえず出す決まりになっているので、アリバイ作りのために姿見せるシーン入れました的なリブート作品と違ってちゃんと彼らに彼らなりの見せ場があるのはとても良い。(映画のジャイアン良い奴現象)

お互いが生きていく中で相手の世界を壊しちゃいけないし、誰かの世界が壊されそうになったときは、自分にできること、自分がやるべきことを行い助け合う。ただしそれも、自分の領分を超えない範囲で、自分の世界が壊れてまで献身するものではない。当時より人間同士のつながりが薄くなった現代にこそ観るべき作品ではないだろうか。
える

える