ケースケ

進撃の巨人 ATTACK ON TITANのケースケのレビュー・感想・評価

進撃の巨人 ATTACK ON TITAN(2014年製作の映画)
2.1
※酷評注意


・はじめに

正直忙しくてまったく観る気はなかったんですが、つい先日の樋口監督のFacebookでの失言と脚本の町山智浩さんのラジオでの発言にブチ切れてしまい勢いで観に行きました。
他に見たい映画山ほどあるんですけどorz


・そもそも

この映画について「ここがダメ、あそこがダメ」ということは無意味だと思います。
なぜなら、製作陣のインタビューから俺が受けた印象ですが、彼らが作りたいものは“パンピーが面白いと思う映画”ではなく、“特撮映画界隈で凄いとされる映画”であると思うからです。
そもそも観る人をそこまで意識していない、その前提で感想を書いてきます。
細かい理由や製作陣の発言は後で書きます。


・原作の良さ

本題の前に映画について語りやすいように自分なりの原作、アニメの良さは何か書きます。
ちなみに俺は原作ファンってわけではないです。
原作の良さは大きく分けて四つあると思います。
ストーリー、キャラ、残酷描写、謎
です。

 ストーリーは、特に序盤、テンポがよく衝撃的な展開が畳みかける。
 キャラは主要キャラは個性的(強靭な精神の持ち主)でありながら、周りを囲むキャラクターは人間臭く、その読者目線のモブをけん引してくれるエレン、ミカサ、リヴァイがいるから爽快感がある。
 残酷描写、または巨人もこの漫画の魅力の一つ
 なぞも張り巡らされ、キャラの好感度も高いためかれらの行く末や取り巻く謎がちゃんと気になる。

・アニメの良さ

原作にプラスしてアニメは
曲、作画、声優
が良かったです。
曲は一期opはもちろん作中に流れる曲もどれも凄く良かった。作曲した澤野さんはアニメ楽曲界では凄腕らしい。
作画は言わずもがな、声優もバッチリはまってて特に梶裕貴さんの演技は凄かった。リヴァイ役の人も腐女子に人気の人らしいね。



・映画の良さ

欠点とか、失言の前に良かった所を絞り出そうと思います。
まず超大型巨人は凄かった!あれはさすがにカッコ良かったしインパクトある。
普通の巨人もレビューだと結構いいって言う人多かった。
 残酷描写もテレビスポンサーじゃないおかげで相当突き詰められたらしくとても生々しい。
誰得サービスシーンもとりあえずありがとう。

あと何かあったらコメント下さい。


・映画の悪かった所

最初に言ったようにこの映画に細かい所をとやかく言うのは無意味なので軽く。また、製作費などの都合があると思うので、基本的に映像に関してはとやかく言いません。その予算の範囲でもっとどうにかできただろうということを書きます。

 ストーリーの大まかな流れは原作をなぞっていたものの、主人公が食べられるなどは連載当初誰もやっていなかったから衝撃的で面白かったわけで、映画でなぞっても「ほ~ん、エレンゲリオンはよ」としかならない。全体的に原作に忠実なら話は別ですが、如何せんこの映画そこ以外がほぼオリジナルすぎて中途半端。
そして変更したストーリーはどうかというと、
・ミカサが食われた後巨人がすぐ後ろにいる中、エレンがさまよい歩き、次のシーンではもう内地に←端折り過ぎ
・巨人は音に敏感だ静かにしろ←車ガタガタ足音ガサガサお喋りぺちゃくちゃ
・赤ちゃんの声がするから助けに行く。←数年放置した壁外に人間の赤ん坊がいるわけないのは当たり前。
・ミカサはエレンをガン無視←そのくせ少ししたらまたデレる。
・戦地でセックス、巨人現る←もはや意味が分からない。

 次にキャラ。
 エレンは正論を言う相手にもすぐ暴力をふるう情緒不安定池沼野郎に。ミカサはシキシマのセフレに。リヴァイは痛いおっさんになってしまった。
脚本の町山さん曰く、
「諫山先生に、エレンを人間らしくしてみては、といわれやってみたらうまくいった。エレンとミカサが強固な精神力を持つのは二人が幼少のころ殺人を犯したのが理由で、そこを削ることで二人は普通の若者となり二人の関係も薄くなるので、ミカサというセーフティネットを失うことで観客から見たエレンはより絶望の淵に落とされる」らしいです。
 まず原作のキャラの良さで言ったように、この作品はただ暗い雰囲気で人間が恐ろしい巨人に挑むのではなく、この三人が超人間的な存在として他をひっぱていくとこにまた爽快感と面白さがある。だからエレンをただ絶望的状況にすれば面白くなると思ってる時点で間違い。
 次に、さっきも言ったようにエレンが死なないことは原作でも、後篇があることからもわかりきってるからそんな状況に置いたところで観客は驚かない(絵的に驚くことはあっても)。あえて良さをつぶし、その理由も的外れ、それがなぜかもわかっていない。本当に批評家なんですか?

次に謎。これは物語作りの鉄則なのですが、
「好きになれないキャラクターの謎なんて知ったこっちゃない!」
こんなことも知らないのか。それともこのエレンやミカサを観客は好きになると思っているのか。どちらにしても首をかしげる。

次に曲。アニメに完敗。それは別に映画のエンディングとかだけでなく劇中曲も惨敗。そもそも進撃があんなヒットした大きな要因としてアニメのあのOPがありますから。中身で負け、曲のインパクトでも負けていたらおしまいです。
邦画では軽視されがちですが映画でも曲はとても重要です。海外の名作といわれる映画はタイトルを言えばメインテーマが思い出せるのが多いですし、そうでなくとも曲を聴けば何の映画かわかります。(ex.スターウォーズ、ターミネーター、タイタニック、MI)

映像。この映画の予算でもっとできただろうということだけ。
普通の巨人の体のメイクがしょぼ過ぎました。もっと汚したり、全身の質感を工夫しましょう。あれだと本当に全裸の大人が体に縦のストライプ書いてわちゃわちゃしてるようにしか見えない。ていうかあのストライプは何?
全身は撮影上難しくとも、せめて顔はもうちょい工夫すれば違ったかも。映るアップの巨人でいいのがいくつかあった。
子供巨人はすごく良かった。あれはCGなのかな?

あと樋口監督はインタビューで
「海外映画はCGばっか。常に動いてるのはそういう細かいところがばれないため」と言っていました。
この監督が嫌いなのではっきり言いますと、この映画は止まってようが動いてようが違和感しかありませんでしたし、CGゴリゴリの海外B級映画だってもっと安心して見れます。
また、実写に重きを置くアクション超大作はたくさんあります。
特撮に拘るのは結構ですが、大口をたたくのはせめて彼らの技術を超えてからにしたらよろしいかと

最後に演技。くどい。ミカサが食われた後エレンがとぼとぼ歩く演技のわざとらしさ。シキシマのうざさ。くそ寒い


と、ここまでこの映画の欠点を長たらしく書きましたが自分としてはそんなことはどうでもいい。頑張って作ったであろう映画だし、本当は何か足りなくても俺はとやかく言いませんでした。激怒しているのには理由があります。


・本題

僕が怒ってる理由は脚本の町山智浩さんや樋口監督の失言にあります。
町山さんの方はラジオ中で
「俺たち自身が進撃の巨人の実写化という大きな壁に挑んでるんだ。何も自分で作らない人たちが笑うな」
みたいなことを言っていました。
これは聞いて心底呆れてしまいました。
これは娯楽作品を作る人として一番カッコ悪いことです。だってそういう人たちは何も自分で作らない人たちを楽しませるために作品を作るんですから。
そして観客を楽しませられるかどうかが本来越えるべき壁なんです。
一体彼らは何に挑んでいるのか

芸人映画監督もそうですが、監督や脚本家としてディスられる覚悟もないのならやらないか内輪だけで見せあえばいいんじゃないですかね

ただ、町山さんの発言は情けないものの怒りは覚えませんでした
問題は樋口監督の発言です

超映画レビューというレビューサイトで評価40点をつけられたことをうけて
「誰だこいつを呼んだやつは?」
的なことを呟いたあと
「広報に聞いたら招待していないらしい
勝手にきたのか」みたいなことをフェスブックでつぶやき炎上しました

しかも後編の同サイトのレビューで、サイト主にちゃんと試写会のチケットの写メを乗せられるという滑稽っぷり
阿呆らし過ぎます

作品はクソつまらなくてもいいので最低限映画監督としてのマナーは守ってはいかがでしょうか
ケースケ

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