Joaco

許されざるもののJoacoのレビュー・感想・評価

許されざるもの(2005年製作の映画)
4.0
ハ・ジョンウ目当てで鑑賞。
ネット配信されてないので、Tsutaya でDVDを借りる。

正直、ぜんぜん期待してなかったけど、予想外によくてびっくり。個人的にハ・ジョンウ出演作の中でも、上位ランクに入る作品となった。

大学の卒業制作というだけあって、凝ったカメラアングルも編集もないシンプルな仕上がり。その分、演技力とストーリーで勝負するかたちとなり、なんの飾り気もなく、ただ物語としてすごくリアルでぐっとくる質の良さを感じさせる結果になっていると思う。技術的なところを超えた、映画の本質的なよさが映し出されていて、やっぱりどんなレベルにいても、才能って光るもんなんだなぁとしみじみ。

まだ駆け出しのハ・ジョンウは、細やかなパフォーマンスを自然体で演じていてとても説得力があった。他の俳優もいい演技をしてるが、その中でもすでに光った存在感を発揮している。下っ端役で出演してる監督も、とぼけた感じが本当にその辺にいそうなキャラでいい役者ぶりを発揮していた。

韓国旅行したときに、地下鉄や街中で軍服を着た若者をよくみかけて、北朝鮮と「停戦中」にある韓国のリアルを感じたものだ。日本に近くても、その違いは大きい。軍隊にいるときも、その後の社会生活にも徴兵制が及ぼす影響の大きさを、この作品を通じて垣間見ることができる。日本もそれなりに縦社会は存在するけど、その理不尽さたるや比ではない。

そして、人間社会に深く根付く理不尽さに対して、どんな態度をとっていくのか。若者らしい純粋さや現実との折り合いによって、キャラクター達はそれぞれの運命を背負い、背負わされていく、、。

同じ大学の先輩(ハ・ジョンウ)と後輩(ユン・ジョンビン監督)という間柄を通じて、その後、二人とも順調にキャリアアップし活躍していて素敵だなと思う。ハ・ジョンウはいまや幅広い役柄を演じる人気俳優となり、映画制作や監督業にも乗り出している。ユン・ジョンビン氏も、ジョンウ主演でいくつかの作品を世に出し、最新作「工作」では韓国と北朝鮮にあった知られざるやりとりをスケール感をもって作品化し大ヒットさせた。

噂ではNetflixドラマでまた両氏がタッグを組む企画があるみたいだが、海外ロケが多いようなのでこのコロナ騒ぎでどうなるか。ファンとしては、いち早く実現してもらいたいところ。
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