尿道流れ者

少女は自転車にのっての尿道流れ者のレビュー・感想・評価

少女は自転車にのって(2012年製作の映画)
4.0
サウジアラビアの女性は厳しい戒律のなかで生きていて、肌を夫ではない男に見せてはいけないのはもちろん声を聞かれてもいけない、また運転も許されていない。ワイダの母は夫の第一夫人であったが、男の子を産めず、またそのお産の影響からか子供は多分もう産めない。だから第二夫人を迎えようとする夫に対して良い妻であろうとするために、夫の好みに合う自分を維持し、戒律は厳守し、娘にも戒律を守らせようとする。後取りの男の子を産めず、役立たずな妻と言われ捨てられないように。

しかし、娘のワイダは自由奔放に生きている。悪さはしないが、コーランは覚えないし、学校の生徒相手に商売はするわ、自由に好きな音楽は聞くわ。そんなワイダが近所の男の子と競争するために自転車を欲しがるが、女の子の乗るものではないと拒まれる。だから頑張る。そんな話。

最後は堅かった母との親子愛や頑張るワイダの姿に感動する。自転車に乗り「捕まえてみて」といって走り去るワイダに男の子は追いつけない。ワイダは男の支配下から逃れ走っていく。右に行こうか左に行こうか迷うワイダは初めて誰にも邪魔をされずに自分自身の選択で自分自身の道を行く。だから慎重に道を吟味するが、誰にも追いつけなくなったワイダには迷うに充分な時間があるし、その選択がサウジアラビアの女性の生き方を変えていく気がする。