キッチー

チョコリエッタのキッチーのレビュー・感想・評価

チョコリエッタ(2014年製作の映画)
3.6
誰もが一度は思う...自分が何者なのか、何がしたいのか、という問い。そして、何もかも投げ出してしまいたい衝動。そういう気分みたいなものを表現している作品のように感じました。
そして、状況は違うけど、やはり変わった感性を持った二人が海を目指すロードムービーでもあります。

主演の森川葵さん、初めて見ましたが、ホントにベリーショートに髪の毛を切ってしまうところとか、なにか異質なもの、演技に対する凄みみたいなものを感じました。愛犬ジュリエッタの死をきっかけにして変わってしまった主人公の心情を強烈に表現していたと思います。
そして菅田将暉さん。彼女の先輩で自分でもビデオを撮り続けている映画おたくの役でしたが、こちらも不思議な雰囲気ありますね。

そして、二人がフェデリコ・フェリーニの「道」を見ているシーンとか、親が観ている「アマルカンド」とかフェリーニ愛が伝わってくる作品でした。著作権の問題で「道」の映像は本物が使えず、そっくりな映像を作ったとのことですが、なかなかの完成度でビックリです。「ザンパーノ!」って連呼するジュリエッタ・マシーナを思い出し、懐かしかったです。
外のシーンでチョコリエッタこと宮永知世子(森川さん)が、太鼓を叩くシーンもちゃんとジュリエッタ・マシーナになってたと思います。
そして、正岡正宗くん(菅田さん)がザンパノより優しいのは良かったですね。
二人の演技、観てて楽しかったです。

ひまわりの映像とか、道路が壊れていたりとか、他にもメッセージが隠れていそうで、印象的でもあるのですが、ちょっと解らなかったです。個人的には私もフェリーニが好きなので面白かったのですが...

ちょっと尺が長いので、時間ある時にリラックスして、また観てみたいと思いました。
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