りゅう

極道恐怖大劇場 牛頭のりゅうのレビュー・感想・評価

極道恐怖大劇場 牛頭(2003年製作の映画)
5.0
シアター・イメージフォーラムにて、トークショー付きで鑑賞。

怪作。
最初なら最後までギャクが炸裂する。
セリフの間、テンポが良く、終始飽きることなく笑える作品であった。
こんなに劇場中が笑いに包まれた鑑賞は初体験。

宿屋での祈祷シーンは今まで観た映画の中で、最高に笑えたかもしれない。
「霊能力がなくてもやるのがサービス業でしょ!」

◯出産される哀川翔
ラスト、哀川翔が出産されるシーンで「MEN 同じ顔の男たち」を思い出した。
まだ全部観ていないが、トリアーの「キングダム」ではウド・キアーが出産されるシーンがあるらしい。
また、こちらも未見だが「マクナイーマ」でも大人の男性が出産される。

“大人が出産される”という描写はなにか人を引き付けるモノがあるのだろうか。
性、出産に関する恐怖を元にした作品では「エイリアン」が有名であるが。


◯つげ義春
本作の大部分は不思議、不条理な街で彷徨う話である。
この雰囲気は「ねじ式」を思い出した。
6.16のシ「ネマでシネマ」、ロフトプラスワンのイベントでは平山夢明は「ヤクザとネジ式」と発言。やはり。

また、風呂場のシーンは「ゲンセンカン主人」を思い出した。

◯ボーは恐れている
「ボーは恐れている」を観たとき、
第1章がずっと続けばよいのに、と感じた。
(第1章はホラー、コメディ)
そんな映画はないものかと思っていたら、あった。それが本作である。

◯笑いと恐怖
恐怖と笑いは紙一重。
表現に対する火力を変えるだけで、その描写はホラーになったり、コメディになったりする。
※平山夢明「恐怖の構造」

アリ・アスター、ジョーダン・ピールの作品は巧みにホラー、コメディを行き来するが。
本作はコメディに突っ走っている。

◯デブを捨てに
頭のイカれたヤクザを処分場に連れて行く。
この設定は平山夢明「デブを捨てに」の元ネタなのではないか。

◯その他
前の席にホラー小説家のHが座っていた。
石橋蓮司の肛門にオタマが突き刺さり絶命するシーンで「おっ!」と言いながら大笑いしていた。
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