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スティーヴとロブのグルメトリップのとぽとぽのレビュー・感想・評価

4.0
《中年の危機》スティーヴ役スティーヴ・クーガン & ロブ役ロブ・ブライドン主演 × マイケル・ウィンターボトム監督 = 英国鉄板の布陣で送るグルメコメディ・ミーツ・ロードムービーのシリーズ1本目。突如として始まるモノマネ大会が最高すぎる。マイケル・ケインにアル・パチーノにアンソニー・ホプキンスにマイケル・シーンまで。顔を合わせれば必ずふざけるような二人のやり取りがとにかく秀逸でクセになる。本当に二人の人間的魅力と気心知れた化学反応がそのまま作品の魅力を形作っていると言っても過言じゃない。無尽蔵に器用で才能豊か。英国印のユーモアにテンポ良く見ていて飽きないどころかいつまでも見ていたくなる。淡々とオフビートでついついまた戻ってきたくなる空気感がある。多岐にわたるポップカルチャーへの言及。美食に観光、ダラダラと見ていられる同じことの繰り返しに差異を伴う反復。その土地の絶景ばかりか(食)文化や歴史も学べる。
日常に根差した嘘のない感情の振れ幅に共感、地に足が着いている。映画としては細やかな葛藤かもしれないけど、結局人の心を動かすのは人間のドラマだから。虚構のはずなのに嘘がない本物の人間らしさだ。中年の危機とでも揶揄されそうな人生道半ばの悲喜こもごもとリアリティーの中のシュールさ。ああ言えばこう言うの応酬が名人芸の域。なんの張り合いだよ。どっちもツッコまないからボケにボケを重ねて語弊を恐れずに言うなら最高の内輪ノリ。一見下らないのに不思議と身になる為になる心の隙間埋められる。本人役スティーヴ・クーガンは自身のアーティストとしての才能を信じ映画俳優としての成功を夢見ながら現状に不満を抱え、愛すべき女性との距離感も埋めるがごとく、旅先でも女性を探す。そして家庭人でもある彼のイメージや理想との乖離。口を開けばオトゥールやクリエイティブといった言葉が並ぶ。ちょっぴり物憂げに切なくも温かく微笑ましく愛しく作中では明確な答えは与えてくれないかもしれないけど。僕の大好きどころか特別な『ビフォア』シリーズみたいにいつまでも続いていく長寿シリーズになってほしいなぁ〜みんなに地味にオススメしたいのだ。僕も長年の腐れ縁みたいな友達とこんな車旅してみたい。『スペインは呼んでいる』も見に行かないと。

「40歳を過ぎたらモノマネするときは鏡をよく見ろよ」「もうゲームオーバー?」すべての兄弟監督たちが君を指名している「途中からホプキンスを我慢してたろ」「いつも夜明けだな」「電波が入りづらい。素晴らしい景色だけど...つまらないモノマネ師のせいで」箱の中のコビト♪The Winner Takes It All
THE END
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