アラシサン弐

アデル、ブルーは熱い色のアラシサン弐のレビュー・感想・評価

アデル、ブルーは熱い色(2013年製作の映画)
3.9
同性愛を扱った作品であるけど、描かれていることは出会いから交際、倦怠期、破局、そしてその後の人生という、どこのカップルにもある恋愛のイニシエーションであって、実はド直球の恋愛映画なのではと思う。

過激な性描写が取り沙汰されがちされていて、実際二人のセックス描写は際立って美しく思うが、個人的には肉体的な描写よりも、エマの視線や表情から伺い知れる感情の機微に生々しさを感じた。

派手な演出や音楽で変にエモく盛り上げる訳でもなく、二人の喜怒哀楽すべてが分かるのは女優二人の凄味か。

恋人の家に招待されて苦手な食材が出てきて気まずくなったり、パーティで知らない女性と仲良くしてる姿に気が気でなくなったり、多用される普通の「恋愛あるある」のシーンで、恋愛に性別はさして問題ではないことを提示している一方で、同性愛ゆえのある一線を超えたときの怒りや喪失感を容赦なく描く残酷さもある。
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