よねっきー

アデル、ブルーは熱い色のよねっきーのレビュー・感想・評価

アデル、ブルーは熱い色(2013年製作の映画)
4.6
リアルで、美しい。
同性愛者の人生を追体験するような感覚でした。同性愛が普通の愛のメタファーになっているのかと思ったのだけれど、飽くまで同性愛についてしかこの作品は描いていない。
簡単に言えば、主人公のアデルが、髪を青く染めたエマに一目惚れをするというだけの話。エマを一目観てから、アデルはどこかでエマの事を考えてしまう。この表現が素晴らしいんだけど、アデルがエマを欲している時、エマの事を思う時、エマの髪の色である青が、画角に映るようになっているのだ。その表現が出来たというだけでこの映画は優れていると言えるだろう。で、これはネタバレじゃないと思うから言うけど、エマとアデルは付き合うんですね。面白いと思ったのは、同性愛ならではの2人の関係だ。どちらかが、オトコ役でどちらかがオンナ役、みたいに思っている人も多いだろうが、そうでは無くて、どちらも対等な場所にいるのだ。同じくらい相手を求める。そしてこの2人の関係で良い所は、どちらも相手に恋し続けているところだ。相手が他に目移りしたら狂った様に激怒するし、相手がいなければ恋し始めた時のように、青が視界にチラつく。初めてエマに恋をした時に、どこか視界に青があるという状態が続いていたのと同じで、いつまでも初めて恋した様に相手を思っているのはとても美しいと思った。話も画も美しいなんて、なかなか作れる映画じゃない。そこが凄い。
あらすじを聞いた時、ファンタジーじみた作品なのかなと思ったら、誰にだって起きるかもしれない恋を描いていた。美しさだけや、ストーリーだけを求めなかったのがこの映画の素晴らしいところだ。
で、すごいと思ったのはキャスティング。エマを彼女に演じさせたのは素晴らしいと思う。エマの見た目と性格はどっちかというと男勝りといった感じでなので、エマは男の魅力も、女の魅力も合わせ持っているのだ。だからか、同性を好きになるという感覚が、誰にでも体験できるのだ。男がエマを好きになったなら、男勝りの性格に惹かれているんだろう。女がエマを好きになるなら、それは普通に同性愛だ。でも、それはこの映画を観れば当然の事で、皆がエマに恋をするようになってる。人間にある本能的な同性愛を引き出すなんてすげえよ...
一つ言って置きたいのは、僕はレンタルで観たのでオリジナルとは違うR-15版の編集が施されている。その為か、この映画の売りとしてある「官能的」という言葉は、あまり重要な部分では無いなと思った。でもこの映画はリアルに恋を描いたものだ。セックスも表現の為に必要だっただけでは無いだろうか?
真意は分からないが、結構好きな映画なのでいつかオリジナルのDVDは買おうと思った。
少し長い映画だ。今度観る時はもうちょっと集中力を高めておこう。
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