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嗤う分身のPOPCORNのレビュー・感想・評価

嗤う分身(2013年製作の映画)
3.2
ロシアの文豪ドストエフスキーの著書『分身(二重人格)』を映画化したスリラーにして、ドッペルゲンガーもの。
どうしても『複製された男』を思い出してしまう。『複製〜』は観たものによって様々な捉え方が可能でしたけれど、こちらは自らの世界で創り出したドッペルゲンガーそのもので、成りたい自分を創造し、範疇を超えると消し去りたい衝動へと変化する。主人公サイモンのドッペルゲンガーは、自分とは全く正反対の、要領がよくて、アグレッシブで、狡猾な人格を持つジェームズ。殴られたら同じ傷を負ってるし、他の人間が知りえない情報までおのずと知っている。ほぼほぼ夜ばかりの設定もサイモンから見た世界なんでしょう。

勝手な私の解釈としては…
同僚ハナへの気持ちと言うよりも、彼女への気持ちに拠り所を得たい、悪環境ゆえの衝動が変化したドッペルゲンガーだったと解釈しています。
自分の存在感の薄さ、社内でも窮屈感を否めなず、恋い焦がれる相手へアプローチさえできない、それがまた何でなのかすら皆目見当が付かず、鬱屈とした日々の連続が創り出したものとしては『複製〜』よりもより人間らしいのかも知れません。

ビッリクしたのは…坂本九『上を向いて歩こう』やブルーコメッツのヒット曲が劇中歌として採用され、違和感なくこのサイモンの異空間に溶け込んでいる点でした。

ストーリーは…
存在感が薄く、不条理な仕打ちを受けるサイモン・ジェームズ(ジェシー・アイゼンバーグ)。彼はディストピアにもとれる世界で肩身の狭い思いをしていたが、向かいのマンションに住み、職場の同僚ハナ(ミア・ワシコウスカ)に想いを寄せていた。でも内気な彼にとって楽しみは毎晩彼女の部屋を望遠鏡で覗くというもの…。そんなある日、容姿がそっくりな新人ジェームズ・サイモン(ジェシー・アイゼンバーグ)が入社してくるが、同僚たちや上司まで誰もジェームズの存在に驚かない。サイモンとジェームズが瓜ふたつということに。その原因はサイモンが全く存在感が薄いというものなのか⁉︎ いやまた違うものなのか⁉︎ その後、2人は意気投合し、都合良くお互いを入れ替わることになる…。容姿は同じでも性格は全然違うジェームズの登場により、サイモンは追い詰められていき……。
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