ふうま

レッド・ファミリーのふうまのネタバレレビュー・内容・結末

レッド・ファミリー(2013年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

韓国映画らしい、重いテーマを扱いながらコメディ要素を入れて、分かりやすく感動させるエンターテインメントに仕上げている。だが、少しB級っぽくも感じた。
しかし、この映画は北朝鮮のスパイ家族について描いた映画だけど、決して北を批判した映画でも、工作員達を哀れむ映画とも少し違うと思う。
隣の家族は歪ではあるが形をなした家族であり、スパイ家族は家族という営みを許されていない故の、羨みや嫉妬をもっている。家族を成すことすら許されない人達にとっては、歪であれ家族という、直接的に心を触れあわせられる当たり前を羨む。また北朝鮮の五輪などで見られる強制されたロボットのような幸せの表現に対して、いがみあうが心では通じ合っている、隠れた愛があるという人間らしい有様を羨むという皮肉もあるのかもしれない。
映画の中で、暗殺を繰り返す工作員達が関係を持ってしまった人、情が移ってしまった人達を見逃すというのが一貫している。これこそ、この映画がバッドエンドでも悲しい映画でもなく、希望に満ち溢れたハッピーエンドだというのを表してると思う。いわば、思想強制の代表である工作員達が家族を人質に取られながらも、人としての善を、情を優先させるのは、恐怖や支配に人の心は屈しないという、北朝鮮を超えて、人の本質に対する強い意志を感じる。まさにこれこそこの映画の伝えたいことだろうし、ラストに繋がるのではないだろうか。非現実的な、ご都合主義的なフィクションが入り交じった映画的な作品だが、人の夢を描いた作品だと思う。
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