汽笛の音で目を覚ます

アクト・オブ・キリングの汽笛の音で目を覚ますのレビュー・感想・評価

アクト・オブ・キリング(2012年製作の映画)
3.8
1965年に実際にインドネシアで起こった共産主義者の大虐殺。その加害者たちに当時の殺しを映画として再現させる様子を撮ったドキュメンタリー。

まず加害者たちが皆、当時の殺しを武勇伝みたいに嬉々として語る状況が異常。その内容もあまりにも残酷で、もはや別の世界の話のように聞こえてくるほどだった。

そして、いまだに彼らのようなものが英雄視され、今もなお虐殺を主導した政権がそのまま続いているということは異常でしかないけど、それが異常という言葉では片付けられない現実であることも確か。

構造的には、ある意味、悪趣味だとは思うんだけど、取材や映画の撮影を重ねるにつれて少しずつ彼らの本音が見えてくる様は、この撮り方だからこそ見えてきた姿だとも思う。

最後のシーンをどう捉えるかは人それぞれだけど、やっぱり目を逸らし続けるようでは前に進めないんだな感じた。それは画面の彼らだけではなく、政府や国民、もしかすると見てる観客すらもそうなのかもしれない。