(映画公開版)
なんと言っていいかわからない。良いとも悪いとも言えない。
1965年にインドネシアで起きたクーデターをきっかけに、およそ100万人もの共産党関係者が「お国のため」という大義名分を掲げたならず者の一般人によって、虐殺された。
これは、その虐殺グループのリーダーであり現在も存命中で、インドネシアにおいて英雄扱いされているアンワル・コンゴを追ったドキュメンタリー。
彼らが当時行った虐殺をもう一度演じてみませんかという監督の声に、嬉々として「こうやって殺す方が効率的だ」などと言いながら実際に行った殺し方を解説する。
彼らは今も昔もその殺人について、責任を問われたことはない。
しかし、彼ら自らが行った殺人の演技を、改めて自らで演じていくことでやがて意識に変化が生まれていく。
自分が何をやってきたのか、ということを改めて見つめ直すことで背徳感や罪悪感が徐々に表出してくる。元々からその感覚が一切無かったというわけではなく、都合よく塗り固めていた意識の中から、少しずつ少しずつ滲んできているような、そんな感じがとてもリアルで、気持ち悪かった。