たむランボー怒りの脱出

FORMAのたむランボー怒りの脱出のレビュー・感想・評価

FORMA(2013年製作の映画)
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今年劇場で観た映画のベスト1と出会えた。
145分の上映時間の多くを支配するのが「沈黙」。
この沈黙は息が詰まりそうになって本当に辛いのだが、自宅で観るのとは違ってリモコンの一時停止などは許されない。
まさしく体感しなければならないという意味で、坂本あゆみ監督が映画館にこだわる理由が分かった。

どうしてもミヒャエル・ハネケと比較してしまうが、ハネケ作品の視点は「単一の神」であるのに対し、この映画は「複数の神」の視点で語られる。
それぞれの人物が多面的に捉えられており、だからこそ全ての人物に共感できるような仕組みになっている。
これがハネケの場合だったら、なかなか人物に共感できないはず。
そこが一番大きな違いだと思う。

構成や語りのフレキシブルさも見事。
中盤からの「おっ!?」という展開は、その頭の柔らかさに脱帽する。