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パラダイス 希望のyのレビュー・感想・評価

パラダイス 希望(2012年製作の映画)
3.6
ウルリヒ・ザイドルによるパラダイス3部作の完結編。1作目の『パラダイス:愛』のケニアおばさんの娘メラニーが主人公。旅行中散々な目に遭っていた母親の裏では娘がこんな状態だったかと思うと、1作目が更に面白く感じる。今回は直接的にも、舞台が青少年向けのダイエット合宿施設。ウルリヒ・ザイドルらしく、怠惰で自らの体型すらコントロールできない人間を煩悩に塗れた愚かな存在として描写する(かのよう)。食欲に関しての教育ビデオを見せられていたり、廊下に一列で寝かされていたり、日光浴していたり、何もかも笑ってはいけない〇〇状態。
メラニーが恋をした医者が、いつもスカしていて彼女に冷たく接し興味ないことを装っているくせに、ドアの向こうで聞き耳を立てたり部屋に忍び込んで下着を畳んでいたり(←意味不明!)、必死に性欲を抑えているムッツリスケベなのが笑える。この監督は、「人間は矛盾を抱える生物だ」ということを示したいのかもしれない。人間の醜さで塗り固め不快感に苛まれる、泥団子がたっぷり詰まった宝石箱のような3部作。『キャロル』のエドワード・ラックマンの撮影が滅茶苦茶よい。
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