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トム・アット・ザ・ファームのkeroleonのレビュー・感想・評価

3.6
愛すべきドラン監督の最新作!
監督初挑戦のサイコサスペンス。これまでの作品にはなかった、息の詰まるような閉塞感は新境地!ソワソワ・ドキドキが止まりませんでした…

まずはこの映画のアートワークを見よ!金色に染めた髪を揺らすドランさんの口元が、真っ赤な鮮血に染まってる。これが、これから始まる狂おしい愛と悲劇を生々しくメタファーしてるのです。

モントリオールの田舎町に降り立つドラン扮するトム。彼は愛する人の葬式に参列するため、相手の実家の農場(ファーム)を訪ね、いつしかそこに住み着いて家業を手伝うことに。
そのお相手というのはもちろん男性。ドラン監督のセクシャルアイデンティティは、今回もやはり一貫したテーマとなってスクリーンに現れます。しかしその事実を初老の母は知らない。
家族に渦巻く愛と嘘と裏切り。特に全てを知る兄フランシスの目の奥にある深い闇、狂気が、次第にドランをトリコにしていく…

この2人がファームの牛舎でフラメンコを情熱的に踊るシーンでのドランの表情は、ハッとするほど艶かしくて官能的!今回の金髪も似合いすぎてて美しすぎて、もー観ながら何度悶絶・絶叫したことか!あのミニマムな体躯が、巨大なフランシスと並ぶとなんとも愛らしくて♥︎
白髪混じりの母も、この2人の小芝居にきっと何か勘づいてる。出てくる人みんなが物悲しくどこか歯車がズレてて、このズレがどんどん大きく激しく回転しだす。
どうにも八方塞がりになったところでの急展開!一体誰がどうストップするのか、、

最後の最後まで恐怖です。
じとっ…と這い上がって来るような狂気に胸をザワつかせながら、見届けて下さい。

2014.9.13
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