サイコサスペンスを観る元気が無いので後回しにしていた作品。とにかく追い詰められる。冒頭がすごく好き。
「すべてが生々しく本物なんだ」
ドランは親との関係性を描いていることが多いけれど、この作品もいわゆる歪んだ愛というものを扱っているのだろうか。狂気なんて安っぽい形容はしたくはないけど、人格形成のうえで家族の存在は、かなり重要であるということを嫌なくらいに感じる。
「俺はいい人間になる」って、なんて恐ろしい言葉なのだろう。衣装とエンディングの曲から、どうしても深読みせずにはいられない。
ドランの歪んだ感情の描写がすごく好き。同性の親との関係は複雑化しやすいと思うけれど、彼の場合は母親との関係性の描き方がとても印象的。何かが煮えたぎっているような、矛先の向け方さえ見失った長年の怒りのような感情と見え隠れする愛情。母親との関係は私にとっても永遠の課題だなあ。