マリオン

白ゆき姫殺人事件のマリオンのレビュー・感想・評価

白ゆき姫殺人事件(2014年製作の映画)
4.0
正直まったく期待していなかったのだがこれがまた意外な面白さを秘めているミステリー映画だった。ネット上における情報管理の甘さ、炎上騒ぎ、メディアの無責任で偏った報道、そしてその人の都合の良いイメージや想像を押しつけたこれまた無責任な発言など信頼できないものしか出てこない。そして見終わった後この映画で語られる事件の全容すら信頼できないことに気付くのだ。ここまで人の疑心に訴えかける作品とは思わなかったのでとても見ていて楽しかった。

この映画で出てくる人たちは誰もが無責任でムカつく奴らばかりである。特にメディア側の人間なのに事件の情報とツイッターにつぶやいてしまう情報管理を分かっていないディレクター赤星に、ゴシップ好きで想像だけでベ ラベラとしゃべったり人のプライベートに土足で踏み込んでくる満島、そして城野を犯人のように報道したワイドショーに抗議の手紙を書いて結局ツイッターで城野の本名を晒すことになってしまう大学時代の親友前谷には怒りを覚えた。ツイッターやSNSをやってる人ならあるあるなネタが満載なのできっと共感し腹が立つと思う。

そしてこれが全く他人事ではなく無意識に自分も同じようなことしていることはないだろうかと考えさせる。自分がSNSで発言した内容を客観的に見ると実はイタい発言だったり寒い発言だったりしないだろうか?最初ディレクター赤星はツイッターにラーメン屋に★評価をつぶやくのだがまさに映画の感想をつぶやく自分のようで寒気がしたのだ。ああ恐ろしい…。

事件のせまり方もツイッターやワイドショーの報道で効果的かつイライラさせるという演出でとても見事。ワイドショーの無神経ぶりがこれでもかと出る。生瀬勝久の司会者がまたイライラさせる(笑)役者陣の演技も素晴らしくみんなイライラさせてくれる。若干奈々緒が棒っぽかったがまぁ見なかったことにしとこう。

とにかく心地よいイライラと信頼できない情報、証言を見つけるミステリーが合わさった秀作であった。きっと自分も他人事ではないと思えるはず。自分はこの映画の登場人物たちとは違うと思っている人は要注意だ。あとバカッターさんは今すぐ見なさい。
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