休暇旅行中に砂漠を訪れた一家は、地図にも載っていないゴーストタウンへと迷い込む。SFサスペンス作。絶妙に説明のない展開や、分からない内容が、よりリアリティのある不気味さ、得体の知れなさが出ていて雰囲気はある。これぐらいの物語もちょうど良い。

失踪事件の被害者一家とテレビ局の報道部員のそれぞれの葛藤。
事件をどちらも追うけどその先の目標が異なったり、気持ちのズレがよく描かれてた。主演「石原さとみ」としてでなくて娘の失踪で憔悴しながら踠いてる母親をリアルにみた気分。途中、娘を保護したとの内容で電話がかかってくるが、両親が署に行ったところでイタズラ電話だと知ったシーンがあった。そこで母が豹変して身体の力が抜け失禁してしまう場面があったが何とも言えない感情になった。記者はそこをあえて映さなかったがカメラマンは撮れ高だったと非難した。ここでも立場や考え方の違いが大きく出ていた。

　題材としてはロズウェル事件なんだろうけど、そういった陰謀論を流行らせた「X-ファイル」辺りが起点となったのか…「悪魔のいけにえ」や「サランドラ」といったホラー映画で構築された王道展開がSFというジャンルに、特には侵略ものに適用されるのが流行った時期があったんだよね（知ったか）。順序逆かもしれないけど・・・

　根拠は何も無いけれど町（村）の住人たちがなんか怪しい…姿は見えないけれどナニカがいる…原因は全くわからないけれどナニカが確実に起こってる…

　猟奇殺人鬼が闊歩する明確な不条理に晒される世界観とはどこか通じている様でいやどこか逆行する、真相究明に向けて着実に進んでいる様でいて、いや絶対に辿り着けない不穏な空気を楽しむ作品。

　原題は「DISAPPEARANCE」