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FLU 運命の36時間のはのレビュー・感想・評価

FLU 運命の36時間(2013年製作の映画)
4.2
致死率100%、空気感染する鳥インフルエンザによるパンデミックを描いた作品。
割とありがちで、展開の予想もしやすい内容。
政府側の対応を有り得ない程非人道的に描がかれていたのだが、主人公サイドの自分勝手さを正当化するためなのかなあ? などと思いつつ見てたんだけど、中盤の感染者焼却のシーンで、なんか電流が走った。

気になる女性の子供を助けるため、必死で走り回る主人公の救助隊員だが、彼が走るために踏みつけてるのって、全てがまだ生きてるかもしれない感染者達の体なんですよねー。

そう。
この作品には、感染者、政府、医療関係者、ヒロイン、主人公含め、「自分のことしか考えて居ない、他人などどうなってもいい」と考える人間しか登場していないのだ。
善人として描かれている主人公ですら、である。
それを裏付けるかのように、ヒロインの女性は、医者の立場で有りながら、自らの娘をさえ助かれば、感染が広がっても関係ない、という態度を一貫してとっている。

これ、わざとやってるんだろうか?
わざとなんだとしたら5点満点です。
たまたまそうなった感じの方が強いので満点にはしませんが。

そこに気づいてから、マジで本当に面白かった。
まさに囚人のジレンマ。
全員が徹底して自分のことしか考えてないのに、話がしっかり収束する、というのも非常に興味深い。

善人など存在しない世界。
しかし結局は、善の状態にだいたいが収まる。
他者の存在自体が、利であり善である社会性動物の仕組みですね。
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