碧

ある精肉店のはなしの碧のレビュー・感想・評価

ある精肉店のはなし(2013年製作の映画)
3.5
培養鶏肉の販売を許可する国が出てきた今、「命を頂く」ということを見つめることに、より深い意味が加わったようにも思う。

この映画はDVDなどにならないらしいので、アンコール上映は本当にありがたいです。

還暦間近の兄弟が、屠畜、解体、というものすごい力仕事をしているのがすごいと思う(私の祖父もそういう屈強なイメージはあるけど、私たちの世代で考えると無理じゃないか?と思う)。
他に太鼓作りを始めたり(太鼓の皮は牛の皮)、教員達の部落に関する勉強会の講師をしたり、"(屠畜の仕事がなくなった後)これから何をするか考えている"というのもすごいなあと思う。

すごく真面目に一生懸命生きてきた家族なんだなあという印象も受けた。

お兄さんが"残していく"ということを言っていたけど、多分息子や娘は継がない(特に継がせようとも思っていない)様子。

食肉を食べる人みんながお世話になっている仕事でもあり、危険でもあり、美味しいお肉になるというワクワクもあり、牛から命をもらっているというありがたさもあり、生きている牛を殺してしまうという残酷さもあり、この家族にとっては生活の糧でもあり、不当な扱いを受けた苦しみの歴史でもある。
伝統でもある。
女性が有無を言わさず嫁がなきゃいけないような時代だったし、父親も、暴力でしか伝える手段を持たなかったような時代。
生産直販の美味しいお肉。人と人(家族の、お客さんたちとの、近所の人たちとの)の繋がり。

良いことも悪いことも全てが時代とともに移り変わっていく。


いきなり話が飛躍するけど、私はSDGsというのもよく分からなくて。
中には両立しないんじゃないか?と思える目標もあったり。"その目標って、「持続可能」に繋がります?"と思うものもあったり。
人類はどこへ行くのかなあと思ったりもした。
碧