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それでも夜は明けるのfumingのレビュー・感想・評価

それでも夜は明ける(2013年製作の映画)
3.2
ふとした油断をきっかけに奴隷の身となった自由黒人の物語。身体的にも精神的にも常に迫るような内容で、観ていて本当に辛い。観ているだけなのに凄くエネルギーを消費する。しかし、メッセージは強く歴史を知る意味や我々の道徳感・倫理観を見つめると言う意味ではバンビなどと同様に見る価値のある映画だろう。
個人的に本作のラストには「ジャンゴ」のような痛快さや「ショーシャンクの空に」のような爽やかな解放感を期待していたのだが、なんか意外とあっけなく終わって正直尻すぼみであった。特に後者のように、主人公が自由黒人であるが故に知識を活かして高度な労働をしたり、教養を伝えたり、音楽家であった才覚を発揮して奴隷仲間との生活を明るくしていくとかでもない。また他の奴隷たちと友情を深める等も特になく、重要なあの奴隷の女の子をラストで自らが買って身分を解放するとかでもない。ただただ悲痛な映画で、正直カタルシスや面白みには欠ける。明確な解決方法や教訓といったものもなく、ひたすら恐怖と理不尽に怯え耐える様はヒューマンドラマ映画というよりもホラー映画に近いと思う。ブラッドピットはかっこいい。
この映画を観て今一つモヤモヤが晴れない人は、視聴後にジャンゴやRRRを観るべし。
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