ほのか

それでも夜は明けるのほのかのレビュー・感想・評価

それでも夜は明ける(2013年製作の映画)
3.8
ここまで黒人奴隷制度を全編にわたって描き続ける映画を観たのは初めてかもしれない。
わたしはこのジャンルを避けてたんだなあ、と思う。
ホラーやサスペンスを観るよりも怖くて辛くて身が竦む。

「ほっといたら仕返しされるわよ」が、思考と意志がある"ひと"がこの扱いを受けたら「仕返ししてやろう」と思うってことを潜在的には理解している、なによりの証拠だよ。
ただ、あの場でそう振る舞える人は彼らを"ひと"とは思うことがない。
そこがなんで繋がらないんやろうか。
奴隷としてしか見たことない。
奴隷であり、自分の鬱憤や都合の悪い物事の
捌け口としてしか見ていないんやね。

それがどれだけ横柄で傲慢な態度であるかが
わからないことがわからない。
肌の色で上下が決められるはずがないことが
わからないことがわからない。
肌の色が、暴力を振るったり殺したり
自分の都合で振り回していい理由にならないことが
わからないことがわからない。

わかったうえで物事を考えたいのに
理解ができないから腹が立つ。
わからないことは本当に怖い。
それでもみんなまた歩み寄ろう終わらせようと
踏み出すんだからほんとうに強いよ。


根強く残る思考は自分が可愛いの枠を越えてしまってる。
"誰かを見下してるその立場が可愛い"は、ほんまにみっともない。
そのことをわからないほど馬鹿じゃないと信じたい。