トムヤムくん

大統領の執事の涙のトムヤムくんのレビュー・感想・評価

大統領の執事の涙(2013年製作の映画)
3.7
ハリー・S・トルーマンからロナルド・レーガンまで、ホワイトハウスで7人の大統領に仕えた黒人執事を描いた作品。KKKの襲撃や公民権運動の激化など黒人差別を軸に、ケネディ暗殺やベトナム戦争といったアメリカの歴史を描く。まるで『フォレスト・ガンプ』へのアンサー的な作品に思えた。

ただ『フォレスト・ガンプ』はガンプ自身がアメリカの歴史を体験していくのに対して、本作の主人公セシルは最初から最後まで安全なホワイトハウスの中で過ごす「歴史の傍観者」でしかないため、若干物語の中に入りづらい。せっかく執事という役柄なのに大統領との絡みも大して深いものはないので、主役なのに彼が映っている時間はすごく退屈だった。

本当の主役はホワイトハウスの外で黒人の地位獲得に励む彼の息子の方だったのかもしれない。彼が映れば手に汗握る展開ばかり。実際の映像を交えた差別の描写が本当にしんどいし、息子を待ち受ける結末もつらい。彼の映画だった。