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オーバー・ザ・ブルー・スカイのやのネタバレレビュー・内容・結末

3.9

このレビューはネタバレを含みます

泣くまい、と思いつつ、泣いてしまった。わかりやすいようで、色々深かった。

他の方も指摘しているように、『ブルーバレンタイン』に似ている。影響を受けているんですかね。といっても、愛の始まりと崩壊、という点で『ブルーバレンタイン』とは似ているが、本作はラストシーンでもわかるように、2人の愛は永遠に続く、と示唆されていたり、『ブルーバレンタイン』が誰しもが共感させられる普遍性がある一方で、本作はドラマティックな要素が盛り込まれて、またオフビート調に描かれていたりして、伝えたいことは全然違う。ただ単にラブストーリーではなくて、もっともっと深い哲学的なメッセージを感じた。

敬虔なエリーゼとアナーキーなディディエ。エリーゼに前に戻ろうと促したり、ステージ上でキレまくったり、ディディエは超現実的な人なのかと思いきや、実は娘の死を受け入れられないのはディディエだったり、エリーゼは現実逃避のために鳥を信じているかと思いきや、実際は何とか解決しようと模索していたり、ああ、男と女は一生わかりあえないもんだな、と痛感させられた。最後、エリーゼが死を選ぶあたりは『レボリューショナリー・ロード』と同じだったり、そういうもんなのか、と。

ただ、本作はタトゥーからわかるように女性が永遠の愛のために死を選んだ、という点で希望があって、映画だから出来るオチだなーと。最後病室でブルーグラス弾くのも、結局男の自己満足じゃねえか、と思ったりしたけど、そんな男を愛して止まない女がいるから、世界はまわっているんだな、と思ったら納得もできて、音楽との相乗効果もあって、号泣でした。

カントリー精神をそのまま体現したかのようなラブストーリーでありながら、アメリカ(というよりブッシュ)批判なるものがあったり、2人が宗教と科学の対立かのように描かれていたりして、鑑賞後の余韻が強く残った。大分と寒いことを言うと、宗教でも科学でも解決できないのが愛なんだな、と思ったり。

ただやっぱりドラマティックすぎる、というか、悲劇性に富みすぎていて、映画らしいっちゃ映画らしいけど、どこか説得力にも欠けていたかな、と。比べるべきではないと思うんですが、そういう面では『ブルーバレンタイン』や『レボリューショナリー・ロード』のほうが物語に説得力があるかな、と。まあ、最後は号泣したので、十二分に納得はしています!
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