BOB

ビッグ・ヒート/復讐は俺に任せろのBOBのレビュー・感想・評価

4.0
フリッツ・ラング監督の傑作フィルム・ノワール。

殺人課のデイヴ・バニオン刑事が、街を裏で支配する犯罪シンジゲートを捜査する。

"You couldn't plant enough flowers around here to kill the smell.

男の拳銃自殺から始まる、ギャング絡みのハードボイルドな探偵サスペンス。無駄なくコンパクトに纏まっている脚本・構成、洗練された映像、先の読めないストーリー、キャラ立ちしたキャラクターと役者の演技。とことん完成度が高い。

一人の警官の死亡を機に、芋づる式に明らかになっていく登場人物の多さと、その複雑な関係性から、犯罪シンジゲートの巨大さ、闇深さがしっかりと感じられる。

腐敗した街と、幸せな家庭の対比。殺し暴力卑しさと、家庭のぬくもり。ギャングと、天使のような妻と娘。

主演はグレン・フォード。粋な台詞をさらっと吐くダンディで正義心の塊のような漢。唯一素の自分をさらけ出せるのは、妻と娘の待つ家庭。失われてしまった家族のぬくもりを語るラストにはグッときた。バーのシーンで、グレン・フォードが過去に出演した『ギルダ』の有名な曲"Put the blame on mame"♪が流れていた。

ヴィランは若き日のリー・マーヴィン。気性の荒いギャングの若頭のような役が板についている。

『孤独な場所で』のグロリア・グレアム演じる女性キャラが、ヒロインとファム・ファタールの両方を担うキーパーソン。顔の片側に負った火傷を白い包帯で覆い隠した姿は、正義と悪の中間にいることを示唆していた。『ダークナイト』のハービー・デントを想起させた。

自殺した警官の妻を演じたジョサリン・ブランドは、マーロン・ブランドの実の姉らしい。

"Oh, well, you're about as romantic as a pair of handcuffs."

"The main thing is to have the money. I've been rich and I've been poor. *Believe* me, rich is better."

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