このレビューはネタバレを含みます
これが私のソウルムービー。
主人公のティムと境遇が一緒で涙不可避。
私も父に会うために、今だって何度もタイムトラベルをしている。
将来子供ができたら、きっと私の《タイムトラベル》も意味を変えるはず。
この映画のタイムトラベルには2つの教訓があったと思う。
終盤まで、ティムが行うタイムトラベルは、《もしもあの時ああだったら》という後悔からの仮想体験に過ぎない。
しかし、どうにもこの映画は、過去を変えるためのタイムトラベルという行為を「善」としては描いていない。
「あの苦しみや失敗がなければ、今の幸せもまた崩れてしまう」という教訓を、私たちに突きつけてくる。
ティムの父が死因の原因であるタバコの"おかげで"母と出会えたように、人生に"変えた方がいい過去"なんて一つもない。
ならば今日という日、この一瞬を精一杯に生きること以外に、幸せの秘訣があるだろうか。一度きりの人生であるからこそ、不可逆な時間を大切に噛み締めるべきである。
一方で、最後にティムが父と行ったタイムトラベルは、その意味合いを変える。
この時だけは、過去改変のためでも、今日をよりよくするためでもない。"記憶へのアクセス"である。
いつまでも色褪せない美しい思い出が、確かに自分の中にある。時に過去へ立ち寄り、愛する人の存在を、愛してくれる人の存在を感じる。
そのためのタイムトラベルは、ティムだけでなく、私たちみんなが授かった能力。
どんな過去であれ、それらは自分にとって"愛おしい時間"であり、私たちはいつだってそこにタイムトラベルができる。
人生を変えた一本に出会わせてくれた監督、キャスト、この映画に関わった全ての方々に、心から感謝を伝えたい。
ビル・ナイ最高。