えっちゃん

アバウト・タイム 愛おしい時間についてのえっちゃんのレビュー・感想・評価

4.0
ティム(ドーナル・グリーソン)は21歳のある日、父親(ビル・ナイ)から、一族の男性にのみ伝わる特殊能力について聞かされる。それはタイムトラベル、過去のある日に遡ることができるという能力で、ティムはメアリー(レイチェル・マクアダムス)という彼女を手に入れるまで、彼女を作るためにその能力を使おうと決める。
タイムトラベルを駆使してなんとかメアリーと恋人となり、結婚して、子供も生まれて幸せを噛みしめるティムだけど、ある出来事を境にタイムトラベルではどうにもならないことがある、ということを思い知る。

リチャード・カーティスが監督引退作だと公言する当作。『ラブ・アクチュアリー』同様に、めちゃくちゃキスの演出が多い💋

過去に遡ってやり直すラブストーリー、といえば『バタフライ・エフェクト』を思い出しますが、タイムトラベルによる悲恋が描かれているのが『バタフライ〜』だとすると当作はその真逆のような心地です。
恋愛映画の側面としては、ティムとメアリーのカップルがとにかくかわいい!
ティムがメアリーと付き合えるようにこまめに過去に遡って最良の選択をおこなっていくところ(事に及んだあともっと最高にするって過去に戻ってもう一回事を為すところも!)とか、ティムが可愛いところもさることながら、メアリーがとてもユーモラスなキャラクターであるのも素敵でした。
ティムの母に見た目を褒められた時に"ただ大量のマスカラと口紅をつけているだけなんです"と謙遜したり、なかなか結婚式のことを決められないティムに対して、1つ決めるたびに一枚服を脱ぐ、なんてゲーム形式にしたり、と周りの人をハッピーにすることに長けた素敵なキャラクターだなと思います。
付き合ってからの二人も、ティムがメアリーを俵担ぎにして"君を連れて帰るぞ〜"しちゃうところもかわいくて、ラブコメいろいろ観てきた中で、パワーバランスや色っぽさも含めてかなりすきなカップルです。

でも当作の根底に流れるのは最初から最後までずっと家族愛なんですよね。
一族の男だけに伝わる特殊能力、ということで、とりわけ父子の親子愛がフォーカスされますが、ビル・ナイとドーナル・グリーソンがだんだん本当の父子のように見えてきちゃいます。
家族から愛されたティムがメアリーという恋人を見つけ、新しい家族を作って育んでいく、その後も連綿と続く父子のやりとりが観ていてとてもジーンとしてきます。

"今日という日を2回目の1日と思って生きる"、単純だけど難しくて、それをタイムトラベルという物理的(?)方法で実践してみるティムが人生のお手本となってくれそうな、そんないい映画だと思いました。