ハヤシ

アバウト・タイム 愛おしい時間についてのハヤシのネタバレレビュー・内容・結末

3.3

このレビューはネタバレを含みます

予想外に面白くなくて残念だった。エンタメとしてもヒューマンとしても中途半端。端的に、結末が陳腐すぎる。

タイムリープものながら、特に世界や他人を救わないという「小さな物語」である点は好き。でもそれなら『恋はデジャブ』で十分なんだよねぇ。

父子関係の描写は悪くないが、それ以外の人間関係に関しては感動が引き起こされるほど描写されていないし、能力の使い方やそこから派生する物語展開は、基本的に『恋はデジャブ』や『バタフライ・エフェクト』と同一で新規性がない。

主人公およびその男友達がことごとくタチの悪い陰キャやヘタレという感じで、変なリアリティと不快感がある。とはいえ、主人公は交際や結婚、妻の出産などを経て内面も次第に成熟していくが、その描写が案外少ないので序盤のイライラさせるキャラクターの印象が最後までなかなか消えない。

ただ、主人公だけでなく父親も能力を使用でき、お互いが無数のタイムリープを前提とした会話やコミュニケーションをする点は秀逸だと思った。また、時間の遡及について副作用はないが、子どもの出生などが実質的な一区切りになる点(子どもの出生以前の過去を改ざんすると、子どもが別の個体になってしまう)も悪くはないが、これは割と誰でも考えつくギミックだな。

そして最も疑問に感じたのは、タイムリープに妹も同伴して過去の出来事を変更する場面。「え、他人も一緒にいて能力使えるの?(そういう使い方して良いのか?)」という違和感が拭えず、物語に熱中できなくなっていった。父から自らの能力を教わる、というモチーフがある以上、こういう反則技めいた行為に関しては事前に父親から説明・言及されるのが物語展開として適切ではないかと思う。タイムリープが完全にメインの物語でないことは重々承知しているが、設定が甘すぎる。

この「ループもの」というジャンルはアメリカ映画の強みであって、他国が真似てもクオリティが落ちるのではないかと推測する。

なお、レイチェル・マクアダムスはめちゃくちゃかわいい(というか思っていたより10歳くらい上なんだな…童顔ですね)
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