mai

イフ・アイ・ステイ 愛が還る場所のmaiのレビュー・感想・評価

3.6
すごく良かった。
元々原作が好きで、さらにクロエグレースモレッツのことも好きだから、前々から観たい観たいと思ってた映画でした。

主人公のミアは家族総出で雪の日に外出はしたはいいものの、スリップ事故に巻き込まれてしまいます。
父親・母親ともに亡くなり、さらに容態が安定した弟のテディまで亡くなります。
そんな様子を彼女は幽体離脱のような形で目にすることになります。次々と浮かんでは消えていく思い出…そして、大好きだった彼氏のアダムと別れたこと…。
孤児となってしまったミアは、生きる希望もなくしてしまいますが、親友のキムや祖父の言葉に「死」への気持ちが揺らいでいきます。最後、ついにアダムが実際に会いにきてくれて、さらに彼女への思いや歌を送ります。
その時、母が言っていた「どんな選択をしても必ず幸せになれる」そして「時には犠牲も伴う」という言葉が思い出されました。アダムは彼女と一緒にいるためなら全てを捨ててもいいと言ってくれたのですから…。
そして、最後、彼女は生きることを選択しました。

現在の緊迫したパートと過去のアダムや家族とのパートが交互に出てくるので、ふとすると退屈になりがちな構図なのですが、そこを綺麗に物語を作っていくことで回避していたように思います。ミアの感情の揺れ動きが丁寧に演じられていて、終始ミアに共感しながら映画を観れました。
音楽を選ぶのか彼氏を選ぶのか、彼女は選んでしまった後もひどく後悔に苛まれていましたが、最終的にちゃんと選択できたのを描けていたのが素敵でした。

目が覚めた後のシーンも〜という気持ちはなくもないですが、この映画は「選択」をテーマにしていて(例えば、最初のシーンの「外出するのかしないのか」や「ハロウィンパーティにロックでいくのか」や「生きるのか死ぬのか」などなど、あちらこちらに選択肢が転がっています)、その一つ一つの選択で彼女の人生が大きく変わっていく様を表現しているように思います。
外出しなければ事故にも遭わず、アダムとはそれっきりだったかもしれない…などいろいろと可能性は考えられるわけで、そう思うと、彼女の最大の選択である「生きるか死ぬか」つまりは「現実を受け入れるのかどうか」というのがこの物語の結末であり、その後の話というのは余談にすぎない…と思います。この後に様々な難題が彼女には降りかかるとは思いますが、きっとこの幽体離脱的な体験を通して強くなった彼女なら乗り越えていってくれるのだろうと感じます。

話の流れも綺麗に続いていってて、さらに最後30分くらいは号泣するくらいでした…素敵な映画に巡り会えました。
mai

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