Pastel

ラヴレースのPastelのネタバレレビュー・内容・結末

ラヴレース(2013年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

アマンダのファッションがとても可愛い。けど、それ以上に壮絶。女性はもちろん、男性でもこのお話を見た後に "ディープ・スロート" を純粋に楽しむことは出来ないかも。(それでも見てみたいなとは思うけど) この手の"身内に搾取されるヒロイン" の話はたくさんあるけど、ビジュアル的にもこだわっているという点ではヴィオレッタに似ているのではないかと思います。

リンダの悲劇は夫のチャックと出会ったことから始まったかと思いきや、お母さんも中々にクセが強い…。チャックに暴力を受けてるリンダを突き放すシーンは胸が痛いです。あの時、きちんとリンダの声に耳を傾けていれば、ディープ・スロートに出ることもなかったかも…。なんて、わたしたちが思わずとも最後のシーンで後悔してる描写がありました。

ディープ・スロート制作陣はむしろ、とてもいい人ばかりで特にリンダを匿ってチャックを成敗してるシーンは安堵しました。(スカッとというより、「これでリンダも安心して過ごせるかな」という気持ちが強かった)

演出が面白くて、前半の方は軽快な音楽に乗せてトントン拍子にリンダがスターになる様子を描いている様子から一変。引退後?のインタビューのシーンで「チャックから暴力を受けてましたね?」という言葉からまたチャックと結婚したところから繰り返されるのだけど、前半のシーンでは描かれなかったリンダが抱えていた "闇" が描かれます。この演出、個人的にはとても良かったなと思います!まずはリンダがどのようにしてスターになったのかを当時の人達から見えてる視点と同じように "表面上" だけで描き、リンダがどのような人物か分かったところで "真実" をぶち込むという…前半は軽いトーンで進んでいくので物語の壮絶さに離脱することも無く、でも、後半のシーンでは壮絶さに苦しくなりながらも、リンダ・ラブレースという人物が気になって見てしまいます。前半でも暴力を受けていたという伏線などはきちんと撒かれてて見事。(チャックの命令を無視したあとに部屋で暴行されてるシーン。1度目は"あの二人スゴいな…"としか言われていなかったけど、2度目はきちんと部屋の中での出来事が描かれている。)

時代設定も、国も違うけど、"性" がまだまだ搾取されてる現代の日本にも通じるものがあるのではないかと思います。何度酷い目にあって、打ちのめされても、立ち上がったリンダは本当に立派な女性だと思います。
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