存在を信じてもらえない=他者から認知されない、というシビアな世界で、同じ葛藤を抱え鏡像関係にある主人公とヴィランの、存在証明と生き方の選択をめぐる闘い。
単純に力の強い奴が勝つような決着の付け方ではなく、生きる目的、これから何をなすかの差が明暗を分ける展開が巧い。
恐怖に飲み込まれてしまった彼の行く末は、ややビター。
90分台に抑えるためか、かなりテンポ重視のため、せっかくそれぞれ個性的なヴィジュアルを誇る各キャラクターの住処を巡る旅も、個々のキャラクターのドラマもあっさり流れていってしまうのは惜しい気がします。
何か軽薄そうにも見えつつもしっかり芯のある主人公と、演じるクリス・パインの絶妙な合致。