セッセエリボー

レベル5のセッセエリボーのレビュー・感想・評価

レベル5(1996年製作の映画)
4.5
久しぶりに映画観ながら気が狂いそうになった。腰を据えて本気で向き合ったら多分狂う。他のクリスマルケル作品を観てたら少し違う感想になってた気もする。死ぬまでにあと何回か観たい。
とにかく光が前景化されている。スクリーン上の光の動きがイメージの速度を上回るデジタルの映像表現を冒頭で炸裂させながら、それに抗うかのようなゆっくりした画面が続く。フィルムとは全く違うコンピュータのチープともいえる映像は光の粒子を四方八方に拡散させて「理解」しようとする我々の手をすり抜け、乱数的な配列の中で「顔」のイメージを形成する。沖縄の戦没者たちの顔。ショットが本当にshotとなって現実の人間を撃ち殺すとき、最後にこちらに向けられる顔。女の人がしゃべってるところもめちゃくちゃ単調なんだけど、彼女の喪失の記憶と沖縄戦の証言をこういう形で「観ている」こと自体が実際にその人を前にして同じ証言を聞くのとは全く違う体験なんだなあと思った。正直「捉えどころがない」としか言いようがなくて上手く言えませんが。