イチロヲ

人妻集団暴行致死事件のイチロヲのレビュー・感想・評価

人妻集団暴行致死事件(1978年製作の映画)
4.0
社会不適応者の青年3人組(古尾谷雅人など)が、親交を深めていた中年男(室田日出男)の妻(黒沢のり子)を強姦致死させてしまう。「妻の死亡届を出さなかった男」の実話ルポを原典にしている、日活ロマンポルノ。

都市郊外、封建社会の因果応報を描いている作品。胸糞悪いワルガキたちの物語だが、彼らはセックスに貪欲なだけであり、他人に危害を加えるチンピラとは基本的に別物。ワルガキになった理由も描かれているため、まだ感情移入の余地がある。

古尾谷雅人が密かを横恋慕している黒沢のり子と、その夫・室田日出男が物語のキーパーソン。黒沢のり子の不思議ちゃん系のキャラが浮世離れしているが、物語が進むうちに笑い事ではないことが判明する。

若者を諭すべき存在の室田日出男が、若者と同じく「はぐれ者」であるところが醍醐味。各々の境遇が交錯するカオス状態が無慈悲に描かれており、ポルノ映画としては異例となる「日本アカデミー賞ノミネート」も宜なるかな。
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