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フォックスキャッチャーのmasayaanのレビュー・感想・評価

フォックスキャッチャー(2014年製作の映画)
4.0
なるほど・・・。承認不足というコミュニケーション上のリスクを担保するのに、「ただ一人」の人間にすべての抵当を求めてはダメだということだ。もちろん、んなことは言われるまでもなくわれわれが日常生活で感じていることではあるけれど。

この映画では、ある男は父を求め、「お前は兄を超えられる」と無限に承認してくれる支持者を求め、自分のUSAに対する問題意識の理解者を求めており、またある男は息子を、友を、恋人を、自らの名声欲を無限に満たしてくれる優秀なコマを求めているが、いったい「ただ一人」の人間に一人何役を求めているというのか。それは当たる見込みのない単勝万馬券のようなものなのだ。そんな当たり前の教訓映画としての側面がひとつ。

もう一つは・・・やはり、最後の「USA!」の話になるのだろうか。あるいは男どもの口から、USAの失われた「理念」が語られる時の空虚さ、それを表現する演技は演出側のイメージにマッチし過ぎているようで逆に(いささか)物足りない気もするが、確かに、理念の失われた時代における疑似神話の提出(による逆説的な問題提起)が『アメリカン・スナイパー』だったとしたら、『フォックスキャッチャー』は何だろうと考えてみることにしよう。

(細かく刻むなら3.8点くらい)
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