おとなのみほん

フォックスキャッチャーのおとなのみほんのレビュー・感想・評価

フォックスキャッチャー(2014年製作の映画)
3.0
「船が沈没し、ある無人島に三人の男が流れ着きました。
一人は元自衛隊
一人はコック
残る一人は本官。
彼らは三日後にお互い殺しあいました。
残った一人は誰でしょう?」
こんなクイズがあったなあ。



「イミテーションゲーム」、「博士と彼女のセオリー」、そして「フォックスキャッチャー」。
「バードマン」は一先ず置いて、アカデミー賞レースとアカデミーの前哨戦、ゴールデングローブも荒らした3作が実話を元にしたどれも触れにくいお話みたいな題材を実力派で攻めて来たのが面白いし、割と10年代はルポドキュ系の触れにくかった題材や機密開示的なもの、戦争ものの良作が多い気がする。
それだけ時代が緩和になったってことなのかな。

さて、フォックスキャッチャー。
以下若干のネタバレ含みまーす。







ジャケ裏のあらすじに、「彼は何故オリンピック金メダリストを殺害したのか…?」とあり、これ書いたらいかんやつじゃんよ。「ちいさな悪の華」の二の舞やめろファックと思いながらまあ観たんだけど、そうか!二人共金メダリストなのか!!
しかもどちらも凄く不安定。
また演技派三人が人間臭くて、素晴らしい!!
途中からなんとなく展開は読めてしまうんだけど、そこに至るまでの心理を役者陣が繊細に演じるから本当にね、誰だって加害者にも被害者にもなり得るんだと感じる。
ただカメラワークが、気に食わない。
中途半端で役者陣三人と題材だけで引っ張ってる感じが強くてどう見せたいのか掴みづらかった。
馬を放つメタ表現ももう一工夫入れて表現にして欲しかった。
こう観るとコーエン兄弟のトライアングルサスペンスって黄金バランス。
いくら三人のキャラクターがバラバラの方向を向いていて、シーンごとに視点を変えるとしてもまとめ方ってある。
三人の性的な共通項を0ベースとして肉付けするとかもう少し芯を張れば、生々しさが出てよかったんでない?