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観相師 かんそうしのmatchypotterのレビュー・感想・評価

観相師 かんそうし(2013年製作の映画)
3.7
思ってたよりもサスペンス色が強くて面白かった。韓国の宮廷もので雰囲気もあってすごく入り込める。

それもこれもソンガンホ、彼の持つ独特な雰囲気が、サスペンスも、宮廷歴史スペクタクルも、アクションも、人間ドラマも、すべて取り込む。

重厚に折り重なる裏切りや謀反が蠢く宮廷サスペンスを、彼の迫真に迫る演技と、コメディ色と、彼にしかない独特の風体で引っ張る。

だから、普通の宮廷ものよりもよりエンタメ性を持って観れる。

さらに、今回の彼の職業、“観相師”。
人の人相を見て、その素性や、人間性、ひいてはその未来をも見据えることができる占い師の一種。

田舎で燻る彼の才能を見出して都に連れてきた芸妓の女将。彼女との関係性がなかなか素敵。
商売敵のようで、持ちつ持たれつの仲間のようで。

その才能を見出されて以降、王家に謀反を企む陰謀と反乱蠢く宮廷のいざこざに巻き込まれていく。

最初は出世やら金儲けやら色めきだって浮き足だって浮かれまくるソンガンホと弟分。
しかし、少しずつただならぬ空気を感じ、王家の側近の権力争いと抜き差しならない緊張感漂う首の取り合いのようなクーデターにまきこまれていく。

その背景には、彼の息子がいる。
貧しく過去に色々あった彼ら親子はその身分や過去を隠し、息子の才覚と志を信じ、息子を宮廷の官吏職に背中を押す。

その息子の出世を願い、彼の成功を信じ、少しでも近くで協力しながら、、、自分たちの金儲けや出世も兼ねて。
宮廷の大臣クラスの“観相師”として、危険人物を特定する王の側近の武器として暗躍する。

この人相を見る能力、すごく興味深い。
映画としてではなく、普通に“人相学”的な人の顔の各所の要素で総合的に分析して相手の特性を見抜く職業。

これは現代のAIとかでも情報量で何とかできそうなことではあるが、時代背景やその瞬間の表情などデータだけでは測れない部分も多分にありそうでこの職業自体にとても興味が湧いた。

話もその“観相師”技術で陰謀を暴き、ハッピーエンドかと思いきや、そうでもないところが韓国映画の醍醐味。

トラブルを“観相”で見分け、王家の危険を察知し、クーデターの種を嗅ぎ分け、問題を未然に防ぐ、、、はずが。

“観相師”の力量と、王家の由緒と、クーデターの政治的武力的優位性。

このバランスというか、抗えない力関係というか。
人の人相を見る“観相師”であることや、あくまでそれは特殊能力ではなく職業であること。
そもそも“観相師”として取り立てられただけで彼に何かの権力があるわけでもないことなど。

彼の特徴を活かした事態の回避と、とはいえ、抗えない部分の権力という力の強さ。

この絶妙なバランスと悲壮感。ソンガンホを擁した宮廷の特殊職業陰謀サスペンス。
彼が出てる時点で安心感がハンパないが、思ってた以上に面白かった。

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TSUTAYA DISCAS運営の映画コミュニティサイト「Discover us」にて同アカウント名でコラムニストをさせて頂くことになりました。
https://community.discas.net/announcements/ib1wyncr43idknqm
別視点で色々映画について書いていこうと思います!ご興味ある方は是非お待ちしております!
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