このレビューはネタバレを含みます
人として大事な素質を思い出させてくれる作品。
国民的アニメ「ドラえもん」。そのリメイク作品が本作である。綺麗な3D映像と共に、ドラえもん登場からのび太くんが未来を変え、ドラえもんが安心して帰れるように自立する場面までが描かれている。ご存知の通り、のび太くんは主人公としては珍しく、皆が憧れるような人物像ではない。テストでは0点ばかり。運動も出来ない。得意な事と言えば、あやとり、射撃と睡眠くらい。ジャイヤンやスネ夫にはいじめられてばかり。このままでは将来は暗い。
案の定そのままの人生では、彼は悲惨な道を歩むことに。結婚にも仕事にも失敗し、彼の子孫は多額の借金を抱えることになる。それに見かねたのび太の孫の孫は、未来からドラえもんを送る。そして、のび太が幸福になるまで帰れないようにプログラムしたのだった。初めはドラえもんの道具に頼ってばかりいるのび太くん。それでも人の心を操り、人間関係までも未来の道具によって歪めるうちに、本当に大切な事実に気付く。「未来は自分の手で切り拓くべきなのだ」と。のび太くんは自分の未来を変えるため、そしてドラえもんが安心して帰れるように、ドラえもんに頼らずに行動する。
のび太くんは人の不幸を悲しみ、人の幸せを喜ぶことができる人間。すなわち、共感能力が高いのだ。いつでもスマホで連絡が取れるようになり、人々が忙しなく動いている現代。忘れてはいけない心を、のび太くんは思い出させてくれる。
