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イコライザーのKEiGOのレビュー・感想・評価

イコライザー(2014年製作の映画)
3.9
戦う男は、強過ぎた…!


どこにでもいるようなホームセンター勤務の男マッコールは、海兵上がりのDIA工作(CIAってなってる記事が散見されるが、DIA)。
もともとは同名のテレビドラマが原作なんですね~。(邦題は『ザ・シークレット・ハンター』と違いますが、原題は『Equalizer』と同じ)
テレビドラマでは匿名の米国政府機関の工作員って設定なのか!微妙に変えてきたのね笑

ま~とにかく設定がイカしてますね!
ちょっと枯れ気味なおっさんが実はその筋のプロフェッショナルで、しかもめちゃくちゃ強い。
デンゼル・ワシントンが醸し出す老成された魅力と、底が見えない凄みがキャラクターの説得力を倍増してますね。
全然銃器を使わないところもいいっすね。玄人、手練れ感が最高です。



とはいえ”私刑”に言及した記事やレビューが少ないことは些か疑問。
この手の作品は超法規的な制裁を是としていいのか?が普遍的なテーマです。
そこには力を持つものが”正しく”力を行使することの危うさが常にあるからです。
『24』はそこに真正面からぶつかったからこそ、ジャックは世界から追われる身となりましたし、『96時間』は(過剰防衛気味ですが…笑)妻子の誘拐や殺人事件の濡れ衣といった大義名分が用意されてましたね。『PSYCHO-PASS』の狡噛もジャックと同じコースを歩んでますね。法的な観点では『検察側の罪人』もまさにこのテーマを扱っています。
『イコライザー』はどちらかというとマッコールの私的感情が原動力となってノブレスオブリージュを発揮している感があるので、そこは少し危機感を持って観た方がいいのではないかな~と。


斯く言う私も私刑に全面的に反対というわけではないのです。
自分たちの”ルール”がいかに崇高で正しいものであったとしても、敵がその”ルール”に従うとは限りませんよね。自分たちは正しいからこれ以上奪わないでくれと主張して、果たして彼らは奪うことを止めるのでしょうか?
その時、相手を倒すためではなく自分を守るための力は必要だと思います。


とはいえ私刑はジレンマ、イタチごっこなんです。
力を持つ者が皆”正しい”ことをするかと言ったらそんな保証はどこにもなく、その保証をするために法律のようなルールがあり、しかしルールでは裁けない絶対悪もあり、それには力を持って対抗する必要があり…と。


クロエ・グレース・モレッツの危うい感じも良かったです…!
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