海老

ヒックとドラゴン2の海老のレビュー・感想・評価

ヒックとドラゴン2(2014年製作の映画)
3.8
とても面白かったです、が、
正直に書くと、初代を越える名作に化けそうだったのに勿体ないな…、が本音です。
あくまで、面白かったからこそ抱く感情です。

後半につれてネタバレ含みます。

今作においては、初代の時点で培った前提をフルに活かしているので、序盤からドラゴンを乗りこなす爽快で大迫力のシーンが目白押しです。これでもかと言わんばかりに飛翔シーンが多いですが、躍動感とアイディアに溢れていて、このあたりは本当に素晴らしい。ヒックの更なる発明も、トゥースの可愛さも、アスティのデレキャラも、初代を好きな人には過度とも言えるファンサービスですね。もっとやれって感じですが。

ストーリーのメインテーマとなる世代交代も、描き方としてはとても良かったと思うんです。ヒックと、トゥースそれぞれが同時に長になる瞬間なんて、すごく熱い展開ですよ。ヒックは父親の意志を継いで、トゥースはヒックのために。

覚悟を持って守るということ。

ここが一番、本作において重要なテーマだったんじゃないかなと僕は思いました。悲しい事故を乗り越え、絆を深め、その先の試練を超えて二人が成長する様は痺れました。


で、
そこまで言っといて何が不満なのかという話。




それは母親の存在です。



これ、無理に組み込むことなかったんじゃ…って思ってしまったんです。
確かに驚くシーンでしたよ。ですけども、彼女は初代の時点で登場の予定なかったのでは?と勘ぐるレベルに設定が杜撰に感じてしまいました。
ストイックとの意見の衝突を考えれば、あの事件を境に人間との交流を諦めた心情は分かります。
が、ヒックを置き去りにしたのは?
話ぶりからして帰れなかったわけでもないようで、長年息子を故郷に残していたのに、再会した途端に「親子としてやり直せない?」って、話が急すぎる。ヒックが言うならいいけども。
はみ出しものの自分が育てるより人間界で普通に育って欲しい、という断腸の思いはあったのでしょうとも。しかし掘り下げ描写がない状態で話が進むので妙に散らかった印象が先行します。虫がよすぎない?って思ってしまった。彼女の気持ちを考える暇なく。ヒックもオイオイちょっと待てって顔していたように見えた気さえする。
ストイックとの関係を描く目的でしょうけども、主役ヒックが置いてけぼりなので観てるこちらも置いてけぼり感覚だったわけです。

その後の展開的にも、世代交代の瞬間に母親の存在が必須かといわれるとそうでもなく、描くなら世代交代か家族愛どちらかにしておけば深みが増したのでは、と思ったのです。

細かいかもしれませんね。

しかし本当に、贅沢を言いたくなるくらいに色々と良かったんです。スコアも個人的には高めなのです。それでも書きました。あくまで贅沢として、ですけどね。
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