水のまち

ラブホテルの水のまちのレビュー・感想・評価

ラブホテル(1985年製作の映画)
4.6
部屋を濡らす雨音に透けるような声で、女は「なんちゃって。」と言った。男は老いた鏡像よりも小さな自分に慄いた。一人では生きられないと思わせる夜のような冷たさと儚さの中、二人が交わす不器用で切ない口づけの温もりに、胸を抉られる。黒いサングラスに映り込んだ青とピンクのネオンサインは“Love Hotel”、タクシーのカーラジオから流れてきたのは「夜へ」、埠頭で軋む「赤いアンブレラ」。何処かしこも肌より深くプラトニックで美しい。
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