MonsieurMachin

チョコレートドーナツのMonsieurMachinのレビュー・感想・評価

チョコレートドーナツ(2012年製作の映画)
4.5
これほどまでにハッピーエンドを切望した映画は他にありません。

チャーミングで愛に溢れ、芯から真っ直ぐな情熱を持ったルディが本当に魅力的。

マルコの人形の件で、事実を曲解する相手の質疑の意図が判った時のルディの表情には、なんとも形容し難い感情が湧き上がりました。
序盤では保守的だったポールが、偏見に溢れた理不尽な審議を前に熱弁をふるうシーンは本当にかっこよかったですねえ。

マルコが嬉しそうにしている時はこちらも嬉しくなり、悲しそうに泣いている時は同じく悲しくなりました。
マルコは決して多くは望んでいなかったのに、望んでいた少しのものすら、あらゆる理不尽な事柄によって打ち消されていく。。

人間として当たり前に享受して然るべきものが、環境や制度、偏見や固定観念などによって阻まれる。
劇中の時代ほどではないにせよ、まだまだこういったことは沢山あるはず。

表層的な部分だけじゃなく、もっと物事の深い部分にある本質に目を向けることができる目を育みたいと、改めて思いました。

マイノリティと位置づけられる人達が、そんな枠組みに囚われない社会になって欲しいと切に願います。
そもそも、マジョリティとマイノリティなんていう対比構造が本当に馬鹿げているんですよねえ。

ルディやポール達のような、真っ直ぐな愛と優しさを持った人達ばかりなら、この世界はもっとマシだったんでしょう。。

最後に歌われていたThe BandのI Shall Be Released。元々大好きな曲でしたが、この映画の中で聞くサビのフレーズは、いつも聴いているのとは違った意味を持っているように聞こえました。
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