親権というのは非常に強い権利で、「母親」だから麻薬常習者という自分の子どものことを第一に考えられなくても、「法的」な力によって第三者が権利を取り戻させてしまうという事実を、真正面から突きつけられる。
親だから必ずしも自分の子どもを愛する、ということは残念ながらない。
子ども愛し、育てる意志のある人たちに、愛情をいっぱい注がれて、人生を生きれたら、こんなに幸せなことはないはずなのに。
なぜこんな単純なことが罷り通らないのだろう。
物語中盤で、「住んでも良い場所だよ」と伝えられた時の純粋な嬉しさからくる涙に、心を揺さぶられました。
ダウン症の他人の子を、無償の愛で引き取るということは並大抵ではない。それだけでも十分話としては刺さる内容ですが、さらに一捻り。引き取ろうとするカップルはゲイであるということ。
性的マイノリティというだけの偏見が、無償の愛を認めさせないのです。
法律って、都合の良いように解釈されたものであっていいのでしょうか。
静かに真実を訴えかけるラストシーンに、
偏見が生んだ殺人という冷徹な事実に、
法律を作る側の人間は、向き合っていただきたい。
この作品はフィクションだそうですが…
世界のどこかできっと起きてそうな気がする。
邦題って変なのが多いけど、この邦題を付けた人は、優しさに満ちていると感じます。
チョコレート・ドーナツ。
好きな食べ物を食べた彼の笑顔が目に焼き付いて離れない。
ただ彼はハッピーエンドを望んでただけなのに。